弁護士コラム

2018.07.26更新

先日、『ほたるの川のまもりびと』という映画を見てきました。

http://hotaruriver.net/

 

長崎県川棚町に暮らす人々の生活を撮った映画です。

美しい里山での生活ですが、普通の生活と違うのは、ダム建設の反対運動が日常生活の中にあるということです。

 

ダムの反対運動を撮りながら、反対運動を中心に撮るのではなく、反対運動を行っている人々が普通の生活をしているということを撮っています。

 

普通の生活をしている人々が、ダム建設に振り回されてしまう不条理な状況が伝わります。

 

私も以前、事務所でこの川棚町を訪れ住民の話を聞きました。

静かな里山でとてもいいところです。

ダムの建設計画がなければ平和な里山の暮らしが続いていたのだと思うと、行政の都合で振り回される住民の方のやりきれない思いを痛いほど感じます。

ただ、住民の皆さんは明るく力強く、根気強いです。

この映画でも、その住民の方々のパワーをすごく感じました。

 

反対運動の対象となっているのが、石木ダムの建設計画です。

50年以上前に計画されたものですが、既にこのダム建設が必要性・合理性の乏しいものであることは、様々な資料から明らかになっています。

それでも行政は過去の決定や利権に縛られ、強行に計画を進めようとします。

裁判所も、行政に追従するのみで、自らの考えと言葉で判断しようとしません。

このような行政、裁判所の柔軟性のない姿勢をどうしたら変えることができるのだろうと考えます。

やはり、ひとりひとりが少しずつでも声を上げていくこと。問題をいろんな人に知ってもらうこと。

それが大事なのだと思います。

地道なことですが、私も日々いろいろな問題に目を向け、声をあげられたらと改めて思いました。

投稿者: 弁護士 吉田 理人

2017.03.09更新

離婚後の面会交流の方法については、調停等で問題となるケースが多くあります。

 

子どもが面会交流に消極的な場合、子どもを引き取る親としては、面会交流をさせたくないという気持ちになるのは当然だと思います。

ただ、そのような場合であっても、裁判所は、DVなどの子どもに危害が及ぶ危険性がない事件では、面会交流をさせるよう求めてくることが多いです。

それでも、子どもを育てている親としては、無条件の面会交流を認めることに不安があるでしょう。

そのような場合に考えられる方法のひとつが第三者機関の立会いによる面会交流の実施です。

 

第三者機関の立会いによる面会交流とは、面会交流の場に、NPO等の第三者機関の担当者が立ち会って、面会交流が適切に行われるよう援助を行うものです。

この方法には、以下のようなメリットがあります。

 

メリット1 子どもの精神的負担の軽減

子どもが面会交流に消極的である場合に、いきなり別居している親と2人で会うとなると、子どもの精神的負担は非常に大きなものとなります。そのような場で、寄り添ってくれる人がいるということは、子どもにとって非常に心強いものです。

 

メリット2 面会交流の場での別居親の不適切な発言の防止

また、面会交流の場で、離れて暮らしている親が、親権者の悪口を言い、子供が傷ついてしまうというケースもありますが、第三者期間の立会いによる面会交流であれば、このようなことを防げます。

さらに、親権者が、住所等を秘匿している場合に、面会交流の場で、相手が子どもに住所等を聞きだそうとすることなども防げます。

 

 

第三者機関の立会いによる面会交流には、このようなメリットがあるので、なかなか面会交流を認める気持ちにならないけれど、裁判所や調停委員から、面会交流の実施を強く求められているというような場合には、このような方法も考慮してみたらいかがでしょうか。

 

第三者機関による面会交流の援助には、面会交流の場での立会いだけではなく、面会交流の場への子どもの送り迎えなどの方法もあります。

気になる方は、面会交流の支援をしているNPOのホームページなどをご覧ください。

 

面会交流についてお困りのことがありましたら、お気軽にご相談ください。

 

投稿者: 弁護士 吉田 理人

2017.01.19更新

自分の死後のために遺言書を残したいという方は多いのではないでしょうか。
自分が亡くなった後に、親族間で争いが起こることは誰も望まないでしょう。
遺言書の作成は、親族間の相続争いを未然に防ぐための有効な手段になります。

 

ただ、自分で遺言書を作ろうと思っても、実は遺言書の作成には非常に厳しいルールがあります。
そこで、今回は、自分で遺言書を書く場合のルールについて説明します。

 

 

自筆証書遺言の書き方
自分で遺言書を書く場合の方式については、民法968条で定められています。
このルールを守らなければ、遺言書は無効となってしまいます。

 

①全て自分で筆記する
遺言書は、全文、自分で書かなければなりません。
パソコン等で本文を入力し、署名のみ自分でするという方式では、遺言書として無効となります。
遺言書の本文、日付、署名、全てを自分で書かなければなりません。
これは、遺言の内容が全て本人の意思によるものであることを確認するためです。

 

②日付を必ず記入する
日付も自筆で書くことが必要です。
日付の記載のない遺言書は無効です。
「平成●年●月吉日」というように、日を特定せず「吉日」とのみ記載した遺言書について、日付の記載を欠くものとして無効と判断した判例があります(最高裁昭和54年5月31日判決)。
それで無効になってしまうの?と驚かれる方も多いと思います。
このように、裁判所は、遺言書の効力について、非常に厳格に判断しているのです。

 

③必ず押印すること
印鑑を押していない遺言書も無効となります。
必ず印鑑を押しましょう。
最近、押印の代わりに「花押(かおう)」という伝統的なサイン(自分の氏名等を図案化したもので、戦国武将なども使用していた)を記載した遺言書について、押印がないとして無効とした最高裁の判決が出されました(最高裁平成28年6月3日判決)。
この判例で問題となった遺言書の作成者は、他の文書などでも印鑑の代わりに花押を用いてきたようですが、それでも印鑑を押したものではないという理由で無効とされました。
かなり厳格ですね。

 

④修正する場合には要注意
加除その他の変更を加える場合には、遺言者がその場所を指示し、変更した旨を付記し、この付記した部分にも署名を加え、変更箇所に押印をしなければなりません。
このような方法による修正がなされず、修正前後で、内容が矛盾するような場合には、遺言書は無効となってしまいます。
このように、修正するのにも厳格な方式が定められているので、一度間違えたら、全文書き直すようにするのが確実ですね。


このように、遺言書を自分で書くためには厳格なルールが定められています。
さらに、自筆証書遺言の場合には、遺言者の死後、遺言書の保管者が家庭裁判所で「検認」という手続きを行わなければならないことや、遺言書が封印されている場合には、家庭裁判所で開封しなければならないことなど、そのほかにも厳しいルールが定められているのです。
自筆証書遺言を作成する場合には、このようなルールを理解した上で、作成する必要があります。

 


公正証書による遺言
自筆証書遺言には、これまで書いてきたように厳しいルールがあり、ルールが守られていないと無効となって、せっかく遺言書を書いたのに、自分の意思どおりの相続がなされないというリスクがあります。
また、自筆証書遺言では、遺言書を作成していたにもかかわらず、その後、失くしてしまった場合や誰かに破棄されてしまったような場合、遺言書はなかったものとされてしまう危険があります。

このような自筆証書遺言のリスクを回避するためには、公正証書遺言という方式があります。

 

公正証書遺言とは、遺言をする人が公証役場へ行って、公証人に遺言書を作成してもらう方法です。
この方法によれば、せっかく作成した遺言書が無効となってしまうということはほぼありません。
また、公正証書遺言の場合には、遺言書の原本が公証役場に保管され、遺言者にはその正本と謄本が交付されます。
仮に、遺言者が正本や謄本をなくしてしまったとしても、公証役場に、改めて謄本を交付してもらうことができるのです。
相続人であれば、遺言者の死後、遺言書があるかどうかを公証役場に問い合わせることもできます。
したがって、せっかく作成した遺言書がみつからないという事態を避けることもできるのです。

 


このように遺言書には様々なルールや方式があります。
どのように遺言書を作成していいかわからない場合には、弁護士にご相談ください。
遺言書をどのような内容にしたらいいかわからないという場合にも、ご相談者様の家族構成や財産状況、それまでの親族間の関係などにあわせて、助言・提案させていただきます。


また、最近では、自分の財産の一部を慈善団体に寄付したいという方も増えています。
私が所属する日本環境法律家連盟では、遺言によって環境団体等へ寄付をしようと考えている方を対象にした「みどりの遺言」というプロジェクトを行っています。
ご興味のある方は、みどりの遺言のホームページも是非ご覧ください。

 

 

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投稿者: 弁護士 吉田 理人

2017.01.18更新

こんにちは。中央区築地駅近郊のアーライツ法律事務所に所属しております、弁護士吉田理人です。

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さて、離婚協議の際に大きな問題となるのが、離婚後の養育費です。

 

養育費は、金額ももちろん重要ですが、それ以上に、相手にしっかり払ってもらえるかという点がとても重要です。
相手が、多額の養育費を支払うと言ったから離婚したのに、離婚したら全く払ってこなかったということでは、泣くに泣けません。

養育費は、離婚後もゆとりをもって子どもを育てていくためにとても重要なものです。

しかし、離婚後に養育費を受け取っている家庭は、離婚家庭の2割程度にすぎないというデータもあります(厚生労働省全国母子世帯等調査)。
そこで、養育費を支払ってもらうためにはどうしたらいいかを考えて見ましょう。

 

 

離婚前に必ず取り決めをしておく

まず大事なことは、離婚の前に、相手と養育費について話し合いをして、約束をしておくことです。
離婚することを優先し、養育費の話し合いは後でいいだろうと考えていると、離婚後、相手の行方がわからなくなり協議ができなくなってしまったというケースもあります。
離婚届を提出する前に必ず話し合いをしましょう。

 

 

養育費の約束は、公正証書もしくは裁判所作成の書面で記録に残しておく

養育費について、口頭で約束をしたのに、離婚後払ってもらえなくなったというケースもよくあります。
口頭での約束のみだと、養育費が支払われなくなったときに、強制的に徴収することができません。

不払いになってしまった時にすぐに強制執行ができるように、準備しておくことが必要です。

 

公正証書の作成
公証役場に行って、養育費の支払いに関する公正証書を作成しておけば、不払いになったときに、給料の差押えなどによって強制的に養育費を支払わせることができます。
相手方との話し合いで、養育費の金額、支払期間等の条件に合意ができている場合には、公正証書の作成ができます(公証役場は、両者の仲介役はしてくれないので、相手方との間で条件が整わなければ公正証書の作成は難しくなります)。

 

家庭裁判所の調停手続きの利用
裁判所に調停を申し立てて、養育費の支払いについて合意しておけば、その調停での合意内容に強制力が発生しますので、公正証書を作成した場合と同様、不払いの場合に、強制的に養育費を徴収することが可能になります。
調停手続きでは、家庭裁判所の調停員を仲介役にして婚姻費用の金額や支払期間等の条件について話し合いを行います。養育費以外の離婚条件についても話し合いができます。

 

養育費について約束をする場合には、このように後に不払いになる危険があることを考え、適切な手続きを選択するようにしましょう。

 

 

養育費を支払ってもらえなくなったらどうするか?

 

養育費支払請求調停申立て

離婚時に養育費についての取り決めをしていなかった場合(口約束の場合や、書面は作成したが公正証書や調停調書にはなっていない場合を含む)には、養育費の支払いについて調停を申立て、相手と話し合いを行い、改めて養育費についてしっかり取り決めをする必要があります。

養育費について合意した手書きの書面があったとしても、それだけでは強制的な手続きをとることはできません。

したがって、このような私的な文書のみがある場合にも、改めて家庭裁判所の調停手続きをとる必要があります。

 

家庭裁判所による履行勧告
既に養育費について家庭裁判所の調停で合意が成立したにもかかわらず、相手方が、支払わないという場合には、家庭裁判所に履行勧告の申立てをすることができます。
この申立てがなされると、家庭裁判所から、相手に対して、養育費をしっかり支払うよう説得、勧告をしてもらえます。

 

強制執行
上記のような手段を講じても、相手が養育費を支払わない場合には、強制的に養育費を徴収するしかありません。
相手方の預金債権を差押えたり、給与を差押えたりします。
ただし、このような強制執行の手続きは、養育費について公正証書を作成している、もしくは、調停等家庭裁判所の手続きによって合意していることが必要です。

強制執行手続きの中でも給与の差押えは非常に有効な手段になります。
相手方が同じ勤務先に勤めている限り、毎月一定額を直接受け取ることが可能となります。
また、通常の借金の不払いを理由とする給料の差し押さえについては、差押え限度額が、給料の4分の1とされていますが、養育費の不払いを理由とする場合であれば2分の1まで差押えられることとなっています。

相手がどうしても養育費を払ってくれないという場合には、このような強制的な手続きをとることも検討しましょう。

 

 

まとめ
養育費については、後の不払いを防ぐために、離婚前に支払額や支払期間についてしっかり話し合い、合意内容を公正証書や家庭裁判所での調停手続きによって書面に残しておく必要があります。
また、離婚後支払われなくなった場合には、強制的な徴収手続きを含め、適切な対応をとっていくことが必要です。

養育費が支払われないのに泣き寝入りすることは子どもにとってよくありません。

養育費をしっかり支払ってもらうためには、弁護士に相談することをおすすめします。

 

養育費についてどのような取り決めをしたらいいかわからない、離婚後、突然養育費を支払えなくなったなど、養育費についてお困りのことがございましたら、いつでもお気軽にご相談ください。

 

 

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投稿者: 弁護士 吉田 理人

2017.01.05更新

昨年は、イギリスのEU離脱やアメリカ大統領選挙のトランプ氏当選など、世界で予想外の選挙が続きました。

選挙が形式的なものではなく、良くも悪くも選挙で世界が変わるのだということを実感しました。

 

政治が民意から離れていくとき、小さな声でも、みんなが声をあげ、よりよい世界に近づけていくことが大切なのだと思います。

誰もが生きやすい環境を未来に残せるよう、少しずつでも声をあげていきましょう。

 

 

本年もよろしくお願いいたします。

お困りのことがございましたら、いつでもお気軽にご相談ください。

投稿者: 弁護士 吉田 理人

2016.12.15更新

浮気が原因で離婚に至った場合、浮気をされた側が、浮気をした配偶者に対して慰謝料を請求できるということはご存知の方も多いと思います。

婚約破棄の場合も、正当とはいえない理由で婚約が破棄された場合には、婚約を破棄した者に対して慰謝料請求が認められます。

婚約破棄を理由とする慰謝料請求が認められるかどうかのポイントとなるのは、主に以下の2点です。

 

①「婚約」が成立していたかどうか

 新郎新婦両家の間で結納が交わされ、さらに結婚式の日取りも決められていたという状況であれば、婚約(婚姻の約束)があったことはほぼ認められると言っていいでしょう。
 しかし、実際の交際関係においては、結婚式もしくは入籍に至るまでに様々な段階があります。

 

 ・2人の間で結婚の約束をした
 ・両親に紹介した
 ・婚約指輪を渡した
 ・結婚式の内容について2人で話し合いを行った
 ・結納金を渡した
 ・結婚式場の予約をした
 ・結婚式の招待状を知人・友人に送った

 

など、いろいろな段階が考えられますが、どのような事情があれば婚約の事実が認められ、慰謝料請求が認められるのかというのは、実は難しい問題です。
 結婚の約束のない交際関係が破局した場合、相手から暴力を受けていたなどの悪質な事情がない限り、原則として慰謝料請求の対象となりません。

 そこで、婚約していたかどうかが問題となるのですが、本来であれば、2人の間でしっかり約束があれば、それで婚約が成立しているということができます。
 ただ、口約束だけだと、相手がそんな約束はしていないなどと反論してきたときには、結婚の約束があったということを証明するのは難しくなります。
 このため、婚約指輪を渡しているとか、結婚式場の予約をしているといった事実があるかどうかが、重要なポイントとなります。
 このように外形的にも2人の間で結婚の約束があったということがわかる場合には、婚約の事実は認められやすくなります。

 

 一言に婚約といっても、口約束の段階から、結婚式・入籍の直前の時期まで、成熟度に差がでてくるので、その成熟度に応じて、慰謝料請求が認められるか、認められる場合にいくらの慰謝料が認められるのかといった判断にも影響がでます。

 私がこれまで扱ってきた婚約破棄事件でも、婚姻の約束がどこまで現実化していたのか・成熟していたのかという点が裁判所の判断に大きく影響していると思われるものがいくつもありました。

 

 

②婚約破棄の正当事由があるか

 仮に婚約が破棄されるに至った場合であっても、断った側に正当な理由がある場合には、慰謝料請求はできません。
 そこで、婚約破棄の正当理由があるかどうかが問題となります。
 婚約の解消を申し出た側が正当な理由があることを主張・証明しなければならないので、特に理由もなく断ったというような場合、正当な理由があるとはいえず、原則として慰謝料請求が認められることになります。

 婚約に至らない交際関係の場合には、理由もなく別れを切り出されたとしても、慰謝料の請求はできません。

 しかし、婚約後であれば、何の理由もなく突然婚約解消を言われた場合などは、慰謝料請求の対象になるのです。

 ここが、婚約後と婚約に至らない男女交際の大きな違いといえるでしょう。

 

 また、婚約を解消せざるを得ない原因を相手が作った場合にも慰謝料請求が認められます。
 相手が婚約中に浮気をしていた場合や、婚約中に相手から暴力を振るわれたといった場合にも慰謝料請求が認められるでしょう。

 


 婚約を破棄された場合、慰謝料請求ができるかどうかは、交際状況や破棄の理由などそれぞれの事情によって変わってきますので、疑問に思われた場合には弁護士に相談をしてみてください。

 

 

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投稿者: 弁護士 吉田 理人

2016.12.07更新

最近、覚せい剤に関する事件が頻繁に取り上げられていますが、覚せい剤が恐いのは、その依存性の高さです。
覚せい剤や麻薬等の薬物事件は、犯罪の中でも再犯に及ぶ率が高い犯罪類型です。
覚せい剤に関する罪で、何度も刑務所を出たり入ったりしているという人も多くいます。

 

身近にある危険
「覚せい剤」と聞くと、一般の社会とは別の世界の話というように思われる方もいると思います。
しかし、実際にはごく普通の生活を送っていた会社員が使用していたという事件もあります。
また、学生や主婦などが逮捕されることもあり、皆さんが思っている以上に身近にあると思います。
今では、インターネットも普及し、覚せい剤に関する情報を一般の人でも入手しやすくなっています。
ごく普通の人たちが、興味本位でつい使ってしまって、そこからはまってしまったというケースが実際に多く見られるのです。

 

異常行動
覚せい剤を使用している人は、妄想や幻聴が聞こえ、普段から異常な行動をするようになると考えている方もいると思います。
確かに、重度の中毒に至った場合には、このような症状が現れることが多いですが、そこまで重い中毒患者でない場合には、普通に生活している時には、何の症状も現れないという人も多くいます。
したがって、逮捕されるまで家族と同居していたのに、周りの家族が全く気づかなかったというケースもあります。
このような話を聞くと、周りの家族は実は気づいていたのではないかと疑う方もいますが、実際に気づかなかったというケースも多いのではないかと思います。
私も、覚せい剤に関する事件を扱うことがありますが、覚せい剤の使用をしていると話している方と接しても、身なりも清潔で、普通に話もでき、おかしな部分を全く感じないという方も多いです。

 

異常行動と依存症
ただ、周りの人が気づくような異常な言動がまだ出ていないからといって、すぐに覚せい剤との関係を断ち切れるのか、というとそういうことではありません。
異常な言動がない状態であっても、既に依存状態となっており、覚せい剤に手を出さずにはいられないという方が多くいるのです。
依存症とは、本人の意思では覚せい剤を辞められない状態です。
「依存症」というのは、病気の一種ですから、医療機関等による適切な治療が必要です。
適切な治療を受けなければ、覚せい剤の使用を継続し、最終的には、精神的にも肉体的にもボロボロな状態となってしまいます。
このような状態とならないために、覚せい剤の使用歴がある場合には、異常な行動が見られなくても、早期に依存症の治療を開始する必要があります。

 

家族や周囲の人のサポート
薬物の依存症となってしまった方に対しては周囲のサポートが不可欠です。
「依存症」は、薬物を辞めたいと思っても、本人の意思ではなかなか辞められない状態です。
一度、薬物は克服したと思っても、不意に薬物による快感がよみがえり、何年も使用をやめていたのにまたはじめてしまったという話もよく聞く話です。
そこで、身近にいる人が継続して本人を見守り、おかしな行動がないか注意していくことが必要となります。
また、仕事や人間関係のストレスから薬物を使用してしまうという人もいます。
周りの人が普段から話を聞くなどして、本人のストレスを和らげてあげることも、薬物に手を出させないための対策になります。
使用者本人にとっても、自分のことを心配してくれる人が周りにいるということは、最後のところで誘惑から踏みとどまる支えとなります。
したがって、薬物に関しては、再び手を出させないために、家族や周囲の人のサポートは不可欠であるといえます。

 

刑事事件になってしまったら
家族や身近な人が薬物事件で警察に逮捕されてしまったというような場合、弁護士に相談することをおすすめします。
こういった事件では、警察署に面会に行っても、弁護士以外面会できないという措置が採られていることもあります。
そういった場合、逮捕された本人の状況を確認できるのは、弁護士だけということになります。
また、薬物事件の場合には、本人が更生し、再犯を犯さないようになるためには、ただ裁判を受けるだけではなく、依存症の治療も含めたサポートが必要になります。
警察では、そのような治療のための環境の調整などはやってくれません。
弁護士であれば、そういった社会復帰後の環境の調整についても相談できます。
薬物事件で逮捕された場合、周囲の人が早い段階で適切に対処しなければ、本人がその後も犯罪を繰り返してしまうということになりかねません。

 


実は、身近にある薬物犯罪。
自分には関係ないと思っていても、突然事件に巻き込まれてしまうということもあります。
そのようなときには冷静になって弁護士に相談してみてください。

 

 

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投稿者: 弁護士 吉田 理人

2016.12.05更新

離婚に向けて別居をしたけれど、自分の収入だけでは生活が苦しい。
別居をしたいと思っているけれど、専業主婦をしているため、収入がなくてひとりでは生活できない。
こういった悩みを抱えている方はいませんか。
別居・離婚をしたいのに経済的理由から躊躇している方は多いと思います。
そこで、今回は別居生活と生活費の問題について取り上げます。


婚姻している夫婦には、相互に協力し生活を保持する義務があり(民法752条)、婚姻生活に必要な費用を相互に分担する必要があります(分担といっても、収入に格差がある場合には、その収入の差に応じて。負担することになります)

この生活保持義務は、婚姻関係が継続していれば、別居をしている夫婦であっても、免れるものではありません。
別居中であっても、収入を多く得ている方は、収入の少ない方に対して生活費を支払わなければならないとされているのです。この費用を婚姻費用といいます。
そして、別居をした場合に、収入が少ない方は、相手方に対してこの婚姻費用を請求することができるのです。これを婚姻費用分担請求といいます。

実際に受け取れる婚姻費用は、それぞれの収入や同居している家族の人数によって変わります。
具体的な事例に即してみていきましょう。

 

【ケース①】
夫:年収500万円
妻:専業主婦

⇒婚姻費用:6万円~8万円

 


【ケース②】
夫:年収500万円
妻:専業主婦・14歳以下の子ども1人と生活

婚姻費用:8万円~10万円

 


【ケース③】
夫:年収500万円
妻:専業主婦・14歳以下の子ども1人と15歳以上の子ども1人と生活

婚姻費用:10万円~12万円

 

 

上に記載した婚姻費用額はあくまで目安です。
具体的な生活状況などによっても、金額は変わってきます。

 

相手方からこのような婚姻費用がしっかり支払われるなら、別居をしたいという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
また、既に別居をしているが、相手方から生活費は受け取っておらず、生活に困窮しているという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
婚姻費用分担請求は、別居時の生活をささえる重要な権利です。

 

ただ、婚姻費用についての取り決めをしないまま別居生活を始めてしまうと、婚姻費用を支払ってもらえずに、別居後の生活が苦しくなってしまうというケースもありますので、別居生活を始める前に取り決めをしておくことも大切です。

また、別居生活の途中からでも請求は可能です。

 

このようなお悩みをお持ちの方は、是非一度ご相談ください。

 

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投稿者: 弁護士 吉田 理人

2016.11.28更新

家族が亡くなった場合、財産をどう分けたらいいのか?
そんな疑問をもたれたことはありませんか。

そこで、今回は相続の基本・相続の割合について説明します。

 

 

1 民法で相続割合が決められている

 家族や親族が亡くなった場合に財産をどのように分けるかという基準が民法で定められています。これを法定相続分といいます。
 もし、亡くなられた方が遺言を作成していない場合や特定の相続人に多くの財産を相続させるべき特別な事情がなければ、この民法で定められた法定相続分にしたがい、亡くなられた方の財産が分けられることになります。

 逆にいえば、自分が亡くなったとき、法定相続分に従った分け方をしてほしくないと考えている場合には、遺言書を作成しておけば、法定相続分ではない財産の分け方を実現できます。
 例えば、長男には、教育のためなどに多くのお金をかけてきたが、次男には、あまりお金をかけてこなかったので、自分が亡くなったときには、多くの財産を次男に渡したいとか、長女は自分の世話をたくさんしてくれたので、長女に多くの財産を渡したいなどの希望がある場合には、遺言書の作成をおすすめします。
 遺言書の作成方法については、また後日、説明をしたいと思います。

 

 

2 誰が財産を相続できるの?
 家族・親族のうち誰が財産の相続をできるかというのも民法で決められています。

 

① 配偶者・子ども
 亡くなられた方の配偶者(妻または夫)と子どもには常に相続権が認められます。
 その相続分(相続割合)は、他にどのような親族がいるかによって変わります。

 

② 親
 亡くなられた方の親は、亡くなられた方に子どもがいない場合に、相続権が認められます。
 亡くなられた方に子どもがいる場合には相続権は認められません。配偶者はいるが、子どもはいないという場合には、親にも相続権が認められます。

 

③ 兄弟姉妹
 亡くなられた方の兄弟姉妹は、亡くなられた方に子ども、親がいない場合に相続権が認められます。
 亡くなられた方に子ども又は親がいる場合には相続権は認められません。配偶者はいるが、子どもも親もいないという場合には、兄弟姉妹にも相続権が認められます。

 

 

3 実際の法定相続分
 事例にあわせて、実際にどのような相続分になるか見てみましょう

 

【ケース① 配偶者1人・子ども2人の場合】
 配偶者と子どもは、それぞれ2分の1ずつの割合で相続します。
 子どもが複数いる場合には、子どもに割り当てられた2分の1の相続分を、それぞれ均等の割合で分け合います。
 したがって、亡くなられた方に配偶者1人、子ども2人がいる場合には、その法定相続分は以下のとおりになります。

 

  配偶者・・・財産の1/2
  子ども・・・財産の1/4
  子ども・・・財産の1/4

 

 子どもが3人の場合は、子どもの相続分は1/6ずつ、子どもが4人の場合は、子どもの相続分は1/8ずつ、というように子どもの人数が増えると、子ども1人あたりの相続分は減ることになります。

 

 

【ケース② 子ども2人のみの場合】
 亡くなられた方の配偶者が既におらず、子どものみという場合には子どもが全ての財産を分け合います。
 亡くなられた方に、子ども2人のみがいる場合の法定相続分は以下のとおりとなります。

 

  子ども・・・財産の1/2
  子ども・・・財産の1/2

 

※ 亡くなられた方の親や兄弟姉妹がいる場合にも、この場合、親や兄弟姉妹に相続分は認められません

 

 

【ケース③ 配偶者1人・親1人の場合】
 亡くなられた方に子どもがおらず、配偶者1人と亡くなられた方の実親1人がいる場合には、実親にも1/3の相続権が認められます。
 この場合の法定相続分は以下のとおりとなります。

 

  配偶者・・・財産の2/3
  親・・・・・財産の1/3

 

 亡くなられた方の実親が2名とも存命の場合には、その相続分はそれぞれ1/6ずつになります。

 

 

【ケース④ 配偶者1人・兄弟姉妹1人の場合】
 亡くなられた方に子どもと親がおらず、配偶者1人と亡くなられた方の兄弟姉妹1人がいる場合、兄弟姉妹にも1/4の相続権が認められます。
 この場合の法定相続分は以下のとおりとなります。

 

  配偶者・・・3/4
  兄弟姉妹・・1/4

 

 兄弟姉妹が複数いる場合には、1/4の分の相続分を、それぞれ均等の割合で分け合います。したがって、兄弟姉妹が2人の場合には、それぞれ1/8の割合で相続することになります。

 

 

4 まとめ
 相続分は、亡くなられた際の家族構成によって変わります。家族・親族の中に既に亡くなられた方がいる場合や、家族・親族の数が多い場合など、相続が複雑になるケースもよくあります。
 今回は、基本的なケースのみをまとめていますので、複雑なケースでは、より詳しい説明が必要になります。

 家族・親族が亡くなったけど、財産をどのように分けたらいいかわからないという場合には、まず弁護士に相談されることをおすすめします。

 

 

 

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投稿者: 弁護士 吉田 理人

2016.11.14更新

こんにちは。築地駅近郊で弁護士をしている吉田理人です。
離婚をしたいと思っているけれど、どのような手続きで進めていったらいいかわからないと悩んでいる方も多いと思います。

 

そこで、今回は、離婚の手続きについて説明します。

 

 

① 協議離婚

離婚される方のうち、8割以上は、協議離婚により離婚しているといわれています。

協議離婚は、家庭裁判所での調停や裁判によらずに離婚する方法です。

協議離婚の中でも、最も多いのは、ご本人同士の話し合いによる離婚でしょう。話し合いで解決できれば、コストもかからず、円満な解決になりやすいとも考えられます。

ただ、ご本人同士の話し合いの場合、本来であれば財産分与の金額をもっともらえていたはずなのに、低額な取り決めとなってしまったといった事例や、養育費についてしっかり決めておかなかったことから、後々、養育費の支払いがストップしてしまったといった事例がしばしば見られます。 

 

裁判所の調停手続き等を利用しない協議離婚の場合であっても、弁護士に相談いただければ、より有利な条件での離婚に導ける場合があります。また、養育費の不払いがおきないように、離婚条件について公正証書を作成しておくことなど、ケースに応じたアドバイスもできます。

裁判所を利用しないから、弁護士に依頼する必要はないと考える方もいらっしゃいますが、ご本人同士で離婚の話し合いができる場合であっても、離婚条件について、弁護士のチェックを受けておいたほうが、安心できるでしょう。

一度、離婚が成立してしまうと、その後に相手方との話し合いで離婚条件を見直すことは難しくなりますので、協議離婚をする場合であっても、その条件について一度弁護士に相談されることをおすすめいたします。

また、相手と直接離婚条件の話し合いはしたくないが、調停等裁判所を利用することまではしたくないというケースでは、弁護士が相手方と離婚条件について協議を行うこともできます。

 

② 調停離婚 
調停離婚は、ご本人同士では離婚について合意できない場合に、裁判所にて、離婚について話し合いを行う手続きです。

裁判所の任命する調停委員が、双方から話を聞き、合意に向けた調整を行います。

 

調停手続きが採られるのは、離婚条件についてご本人同士の話し合いでは折り合いのつかない点があるケースだと思います。

調停委員という第三者が仲介に入るので、ご本人同士で話をする場合に比較し、お互いが冷静に話ができるというメリットがあります。

ただし、調停委員は、あくまで中立的な立場ですので、ご自身にとって有利な条件を引き出してくれるわけではありません。また、調停になる多くのケースでは、双方が合意できない対立点があります。そのような場合、弁護士が専門家として関与することによって、お互いの対立点を整理でき、その対立点に応じて、法的側面から、依頼者の方のための主張をしていくことができます。そのことによって、ご本人で調停手続きを行うよりも、有利な条件を引き出せることが多くあります。

したがって、調停手続きを行う場合には、弁護士にご依頼されることをおすすめします。

 

③ 裁判離婚
調停をしても、離婚について合意ができない場合には、裁判によって離婚を求めることになります。

裁判所が、判決で離婚を命じた場合には、一方が離婚に反対していたとしても、強制的に離婚させられることになります。

 

ただし、裁判所が離婚を命じるのは、婚姻関係が修復不可能なほど破綻していると認められる場合に限られます。

裁判で、離婚が命じられるかどうかは、専門的な判断になりますので、ご本人だけで対応することは、困難であるといえるでしょう。

不倫の事実がある、DVを受けた、長期間別居をしているなどと主張しても、十分な証拠がないとして、離婚が認められないケースもあります。

そこで、裁判所に離婚を認めてもらうため、あるいは、離婚を認めさせないためには、証拠をそろえ、法的な観点から、しっかりと主張をしていく必要があります。そのためには、専門家である弁護士にご依頼されることをおすすめします。

 

 

まとめ
離婚は、人生の分岐点です。

離婚をする場合も、しない場合も、後悔のない選択をしたいですね。専門家のアドバイを受けられることによって、将来の具体的なシミュレーションができ、後悔しない選択ができると思います。

離婚について悩んでいる方は、まずはお気軽にご相談ください。

 

 

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投稿者: 弁護士 吉田 理人

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